こんにちは、カントク西川です。
昨日は長野でライブしてきました。
伊那市という守山よりももう少し小さい街。
そちらの伊那ケーブルテレビでカイツブリが初めて今年4月に放送されて、
少しずつ長野県の各地域のケーブルテレビ局でもいま、カイツブリたちが放映されているんだけど、
市民のみなさんにファンはいてくれてはるのか?
ということで、まずは実験的に伊那市のケーブルテレビだけでCMを流し、
伊那市のベルシャインさんというスーパーでおもしろライブをしてみました。
会場にはアミンチュののぼりを立てまくり。長野の人はなんのこっちゃ?という顔をしてはりました。
でも、おれたちの腹は決まっていたのです。
たとえ観客が5人でも、ここにファンがいてくれたら、おれらはいつも通りやる。
県外に滋賀のキャラクターを広げていく。
やれるという実感がない夢はカタチになりづらい。
その実感をつかむためにここにきたんだ、と。
ライブは11時スタートだった。
10分前、
あたりに伊那市のファンはひとりもいなかった。
滋賀県から来てくれていた仲間だけが2階からそっと見守ってくれていた。
伊那ケーブルテレビさんが特番を組むために2台のカメラで撮影しようと構えてくれていた。
伊那ケーブルテレビのきれいなキャスターさんが、司会の応援に駆けつけてくれていた。
ガラーンとした会場にはコトバにできない空気が流れていた。
「だいじょうぶか?これ?」
なにせ、カメラで撮るはずだった、伊那市の子どもたちがいない。
5人どころか、1人も。
このとき、やっぱりか、とかそんなもんやな、とかあきらめていたら今ごろ後悔していただろう。
組長がとっさに機転をきかせた。「会場に椅子も何もないから、ブルーシートだけでも敷いてみよう。」
開演5分前。
ブルーシートの上に子どもたちが続々と乗り出してきた。
小さなブルーシートだったけど、守山市よりも少し小さい伊那市の街の子どもたちが続々と詰め掛けて、ウソみたいにすぐにシートが埋まった。60人くらいのファンがどこからから出てきて座ってくれた。
それまで、みんなどうしたらいいか分からなかったのだろう。
はじめての対面だし、仮面ライダーショーのようなポピュラーなものでないし。
始まるまで着ぐるみはどこにもいないし、セットも手作り。
ブルーシートを敷いて、さあこちらで観てくださいと案内したら、
どんどん座ってくれた。
いざ始まってみたら、立ち見まで出た。
歌うのは「あゆ香」。ここ最近はちえこじゃなくて、あゆ香がステージに立っている。
伊那ケーブルテレビの美人キャスターさんが一緒になって盛り上げてくれた。初対面のふたり。
どちらもテレビの可能性を信じている。人に何かを伝えるためにマイクを握ってきたふたりだから、
すぐにその会場で何をしたらいいかお互い分かる。呼吸が合っていく。
1曲めは「あにツブリ恋ツブリみんなで歌いまショー」滋賀のキャラを紹介する歌だ。
伊那市の子どもたちがモニタに映るカイツブリたちを観て喜んでいる。
この現象は。
あゆ香は何かをつかんで、イッキにテンションがあがっていく。
「りんごザルだから」長野向けのキャラの歌を歌う。
会場に集まってくれた子どもたちが歌い始める。
そこまでは予想ができた。
次の曲「インゲンジン」でおれたちはひとつの答えをつかんだ。
インゲンジンのマネをして踊りはねる子どもたち。
この、長野でも滋賀でもないキャラが、子どもたちには大ウケだった。
長野向けに作ったあるある歌よりも、大ウケだった。
そして、ラスト曲の「お子様カンフー」。向こうのテレビで公開してまだ1ヶ月も経っていない。
最初、曲紹介のとき、子どもたちはきょとんとしていたのに、いざ曲が流れあゆ香が踊り出すと、
ああ、この歌かという顔をしてステージの前ではしゃぎまくり、踊りまくり。
滋賀県の子どもたちと全く変わらない。
まだあにツブリたちの着ぐるみに出会ったことがない分、新鮮さが違った。
帰り際、お母さんたちも口々にありがとうと言ってくれた。
あにツブリの蝶ネクタイを引っぱる子どもたち。笑ってる。この光景はどこでも変わらない。
そうか、おれは少し考えがせまかった。
長野の人に愛されるには、滋賀と同じように、長野のあるある歌が絶対に必要なんだ、それがおれたちの特徴で、他社との差別化と、そう思ってた。でも、そうとも限らない。
滋賀のカイツブリが、滋賀キャラが、長野で喜ばれている。
この新鮮な驚き。そして、滋賀でも長野でもないキャラが、やっぱりというか当然というか、あっていい。
そういうのは、東京のキャラメーカーがやっているし、とか、中央のテレビ局が放送しているし、とか、おれは監督としてぐちゃぐちゃ考えすぎていた。作りたいものを作ろう。子どもたちの反応を観ながら。そう思った。
おれは2歳か3歳のころ、両親に連れられてはじめて映画館に行った記憶を覚えている。ミツバチハッチを観た。みなしごのさみしさ。昭和のアニメにはそういうものが多かった。
おれも親子のきずなを深めるキャラクターをつくりたい。それさえブレなきゃ、もっと制限を外してもええんじゃないか。そんなことを教えてもらえた伊那のショーだった。
伊那市のショーが成功して本当によかった。
伊那市ケーブルテレビさん、ベルシャイン伊那店さん、そして、伊那市のファンのみなさん、
本当にありがとう。